第13話

書斎から出ると、頬を抑えたまま部屋に向かった。





部屋に向かう途中に榊の部屋が見えた。




何となく、ノックをすると気だるげに榊が出てきた。





「なんすか?」




「……いや……別に……」




何で私はこの人の部屋をノックしたのだろう。よく分からなくて、戸惑った。






榊は私の頬を見て驚いた顔をしたが、直ぐにいつものような気だるげな顔をした。




「ちゃんと冷やさないとアザになるので、冷やすものを持ってくるので部屋に戻っていてください。あと、腕から血が出てます。とりあえずこれで抑えててください。」




ハンカチを受け取るとり、「ありがとう」と言い、部屋に戻った。




少しすると、救急箱と冷えたタオルを持ってきた榊は慣れた手つきで手当をした。



「頬腫れてる?」




「はい。ただでさえパンパンなお顔が、余計にパンパンです。」





「もうっ!怒るよ!!!」




こんな時でも相変わらずな榊に少し助けられた気がした。

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