第12話

ーーー






「……酷くない?………ももちゃんてば……き……キス……してきたんだよ?」






「えー、いいじゃん。佐々木先輩めっちゃかっこいいし……優しいじゃん!」





どこが……



あの人みんなの前ではマシな方だけど……私の前ではだいぶ酷いぞ。





親友の乃々華ののかはももちゃんをよく知っている。……というのも、ももちゃんは昨年前でこの高校にいた。





「お前、絶対ここ受けろ。」と、中学生の時半ば無理やり同じ高校を受けさせられて、ももちゃんが高3のとき私は1年として入学した。



ももちゃんは頭も良くて、私なんて入れそうになかったけど……






ももちゃんは自分の入学が決まった日に、私の家に来て……「お前もこの高校に入るから今日から勉強な。」と、私の中学生活は何故か勉強をずっとさせられるものとなった。






ちなみに、ももちゃんの大学が決まった日、彼はうちに現れ、「お前も大学はここにはいるから、ちゃんと勉強しろよ。」……と、大学のパンフレットを渡されたのは言うまでもない。







「佐々木先輩って本当に妃芽のことすきよねぇ

……」くすくす笑う乃々華に「笑い事じゃない。」と項垂れながら言うと彼女は声を上げて笑った。





それに、あの人は私の事お気に入りの、おもちゃだと思ってやがるもん。





「でも、妃芽も大概よね。」





「何が?」






「えー、だって……ふふっ……あんなに嫌がってるのに、ちゃんと勉強してるし。」



素直に、ももちゃんから言われた通り予習復習をする私を乃々華は面白おかしいものを見るような顔をする。





「ち……ちがうもん!……あの悪魔……私が成績下がると鬼の形相でうちに泊まり込みで勉強会するの。……自分がテスト期間でもうちに居座るんだよ!……もう……ほんと……恐怖だよ。」






あんなのが一日中家にいたら、胃に穴があくよ。

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