廃盤

第93話

あれから、りゅうはものすごい速さで回復をしていった。





そして、五条さんと離婚をした。





「五条さん、離婚をしたいです。」そういった私に「……記憶ない時は名前で呼んでくれたのにな…残念だ。」と笑った。





記入済みの離婚届を引き出しから出した。





彼は随分前に書いていたようだった。






「ありがとうございます。……あの…一つ書いてもいいですか?」






「ん?」彼は私の目を見た。





「何で、私と結婚したんですか?」彼は笑った。





「色々な理由があったけど……兄から奪ったと言うのは嘘だ。でも…兄を嫌いなのは本当だ。……君との結婚生活…俺は楽しかったよ。」





いつも、自分のこと〝僕〟っていうのにな。




初めて彼の本当の姿を見れた気がした。






「俺はいつだって君の幸せを願ってる。」そう言って私の頭を撫でた。

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