第86話
最後のページに
〝来るはずないけど、願いが一つ叶うなら、君と笑い合ったあの日々がもう一度戻って来ればいいと思う。ひとりぼっちだった真っ暗な世界に、初めて色がついた気がしたから。〟
そう書いてあった。
彼女のノートには彼へのたくさんのメッセージが込められていた。
そして、彼女についても。
それが、偶然の出会いで、彼の1番のコンプレックスに彼女は心底助けられたことがわかった。
その日から彼女が嫌がる事を考えた。彼女は変わった人で、献身的に世話をされる事を嫌がった。
彼女の好きな家具を揃え、好きな料理を並べた。
彼女は困惑をし、ストレスを感じているようだった。
誤算だったのはそのストレスを他の男やタバコで発散してしまった事だった。
俺は彼女との微妙な関係を保ち続けながら、ある人の動向をずっと探っていた。
それは、藤岡隆だった。
彼女が朝帰りをした日、わざと煽る様な行動をした。
彼女はイライラするとある場所に行く。
俺は出て行った背中を見つめて「ラストスパートだな…」と小さくつぶやいた。
俺は、彼が彼女が気に入っているカフェのあるホテルに泊まっているという情報を仕入れた。
2人が会えるかどうかは賭けだった。
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