第74話

買い物を終えて、病室に戻ると母と父がいた。





「ねぇ、みなみったら浮気してたのよ…これから私たちどうなるのよ…」



「どうにもならんだろ…離婚したら援助だってなくなる…はぁ…それに、離婚して、出戻りされても障害が残ったら金が掛かるだけだ。」




この2人は姉に、麻痺が残ることを知りそのことを言っているのだと思う。




姉のことをお金を運んでくる何かとしか見ていないことにショックを受けたけど、2人を怒ることができないのが私の悪いところだ。







2人は私にとても優しかった。





私たち家族はいつだって姉を頼って生きてきていたのに…





「……でも、お相手病院の跡取りって聞いたわよ…」母はポツリとそう言った。





「本当か?」父は顔を上げると、笑った。




きっと2人は浮気相手と結婚すればいいと考えたのだろう。

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