病室

第72話

何日も眠り続ける姉を見つめ続けた。病室は当たり前だけど静かですることはない。





母や父は最低限しかこなかった。





麻痺が残ると、聞かされてもあまり反応すらしなかった。





優馬さんは毎日来る。





でも、彼以外来る人は居なかった。





姉の連絡先は家族と優馬さんくらいで、他には誰も居なかった。





学生時代、友人が多かった姉には本当に仲のいい人なんていなかったのだろうか。




藤岡隆




姉と行動を共にしていた男は携帯の履歴にも、連絡帳にもなかった。





メールやLINEにもなかった。





「……お姉ちゃん…、お姉ちゃんは浮気をしていたの?…優馬さんを裏切ったの?」





言葉を返すことはない姉は美しい顔で眠っていた。






ため息をつきながら病院の売店に行こうと病室を出た。

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