伸ばした手
第69話
「待って!」
そう言った時には遅すぎた。
僕の手は彼女に届くわけもなく、数メートル先で彼女は軽トラックに轢かれた。
変にスローモーションに見えて、目を見開いた。
人間から鳴ったとは思えないほど気持ち悪い音が鳴り響き目を背けたくなった。
地面に叩きつけられた彼女の方に走り寄り、声をかける。でも、彼女から声は帰ってこなかった。
運転手はすぐに運転席から降りてきて、救急車を呼んでいた。
止まらない血を見つめながら何度も声をかけて、救急車が来るのを待った。
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