第60話

姉が今までいた場所はあっさりとわかった。




クレジットカードの履歴だ。




彼女は隠しもせず、居場所を教えるように買い物をしているようだった。




だからといって何か高いものを買っているわけではない。コンビニやスーパーだ。






警察の人から教えてもらった姉が泊まっていた場所はどちらかと言うと高いホテル。姉のクレジットの履歴にないことから相手の方が払ったのだろう。





「姉は逃げる気はあったのでしょうか。」優馬さんを見ながら聞いた。





「多分、なかったと思うよ。」彼は少し笑った。





「え?」あっさりとそう答えた彼は悲しげでもない。





「彼女は僕が追ってこないことをわかっていたからね。」確かに優馬さんは姉が家を出てから一度も探している様子はなかった。




「なんで…ですか?」私は彼を見上げる。




「離婚してもいいと思っていたんだよ…というか、時が来たら離婚はする予定だった。」彼はそう言った。





姉と優馬さんが何を考えていたのかなんて私には分からなかった。





でも、一緒にいることのできるこの時間が一生続けばいいと思った。

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