第53話
途方もなくベンチに座ると、知らない男性に声をかけられた。
「あの…道をお聞きしたいのですが…」彼は小柄で人懐っこそうな顔をしている。
「すみません、俺この辺の出身じゃないので…」そう言って断ろうとした。
「もしかして……藤岡さん?藤岡隆さんですよね?」そう言われて顔を上げた。でも、彼に見覚えはない。
「やっぱりそうだ。俺のこと覚えてませんか?大学時代の後輩なんですけど…」そう言われたが記憶になかった。
そんな数年前のこと忘れない。それも海外の大学に居て、関わりのある日本人の後輩なら覚えている筈だった。
「誰だ…?」立ち上がった瞬間腹部に強い痛みが襲った。
「っ…!………ック…」座り込み彼を見上げる。
「みなみちゃんを……!奪った罰だ…」彼はそう言って何処かへ走って行った。
倒れる俺に人だかりができて叫び声が聞こえる。
そんな時に浮かんだ顔はみなみの顔だった。
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