第46話

「まりあはこれからも音楽で生きていきたいのかと思ってた。」はなちゃんはそう言ったけど、確かに音大に行っていたけど、そんなつもりはなかった。





どれだけのコンクールで受賞をしても達成感はなかったし、好きなこと。と言うよりは特技だった。





「私ね、今度留学することになったから拠点が一緒だと嬉しいと思ってたのにな。」悲しそうに彼女は俯いた。





「私ね前から競うこととか、あまり好きではなかったから。私にとっての幸せはピアノで認められるより、彼に認められる事だから。」私がそう言うと彼女は「そっか……」と少しだけ笑った。





軽くお茶を飲んで別れを告げた。彼女はしばらく日本に帰って来ないだろう。





彼女の絵を何度か見たことがある。






とても綺麗だった。絵のことが分からない私にはそんな感想しか思い当たらなかったけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る