第39話
まめで頭のいい彼女は家族の前でタバコを吸うなんて真似しなかったけど、その香りに気がついたのには理由があった。
私は彼女が家を出て数日後、アメリカの空港にいた。
それは、美術館に行くためだった。私は慣れない旅行に戸惑いながらキャリーケースを引いていた。
迷いながら歩いているとドンッと人にぶつかり「ごめんなさい。」と謝った。
彼は「大丈夫だよ。」と笑った。瞳は深い青で色素の薄い髪は外人のようだけど流暢な日本語だった。
喫煙室から出てきた彼は、そのまま何処かへ去って行った。
私は彼の匂いをよく覚えていた。
姉と同じ匂いだったからだ。姉が高校生になったくらいから、この香りに変わっていた。
姉は長い間喫煙をしていたらしい。
優等生な姉からは考えられない一面だった。
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