第14話

家に帰るとやっぱり彼は家にいた。




まぁ、殆ど家から出ない彼の事だからいるとは思っていたけど。





「おかえり、早かったね。」彼は少し笑った。





「別に……」私がそう答えると私の方へ移していた目をパソコンに戻して仕事を再開した。





「ねぇ、私と結婚したのってお兄さんへの当てつけなんだよね。」話しかけてきたのを珍しく思ったのか私の方を見て目を大きく開いた。





「……そうだよ。当てつけだ。」彼はそれだけ言うとまたパソコンに目を戻すのだった。






やっぱり相変わらず気持ちが悪い男だと思った。





「ねぇ、うちの業績って今どうなってるの?」私の実家のことだ。あれから彼の家に出資をしてもらってどうにか成り立っていたけど、今はどうなっているのか知らない。






「まぁ、経営とかに関わっているわけでは無いから詳しい事は知らないけど、うちから出資をしなくてもやって行けるくらいにはなってるんじゃないかな?」少しだけほっとした。






ここを出て行って、心配なのは会社の事だった。

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