第12話
「私ね、あの時が一番楽しかった。」小さな声でそう呟いた。
いくら死のうと思っても死ななかったけど、いつもそばには彼がいた。
同じように死を望む君がいたおかげで私は立っていられた。
「私、楽しかった。この先の未来いいことなんて絶対起こらないって分かっていたけど……色んなことに行ったよね。一緒に死に方調べたり。」私は休みの日は必ず彼を連れて出かけた。
「うん。塾をサボって、勉強をそっちのけでそんな事ばかりしていたね。」りゅうはガリ勉だった。
私もかなり勉強は頑張っている方だったけど、りゅうには一度も敵わなかった。
私と出会ってから、彼は勉強より私を優先していた気がする。
「あの時みたいにみなみの横で振り回されながら笑っていられたらどれだけいいだろう。」彼はそう言って笑った。
私は「そうだね…」と頷いた。
「何処かに逃れればいいのに。」りゅうがそう言った時私は顔を上げた。
「りゅう……一緒に逃げない?」最悪な現実から。どうせ死ぬなら最後くらいもがいてみたくなった。
「逃げる…?」彼は少し驚いた顔をした。
「それでも私たち…幸せになれなかったさ………今度は私がりゅうを殺す。そして一緒に死ぬ。」
きっと、りゅうは臆病だから……
私を殺せない。
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