第53話

そそ、と、雅は笑うと、「あれ、何だか分かる?」と、窓の方へと視線を向けた。


窓?カーテン?どの窓にもある鉄格子?



「あれはね、限界が来て逃げようとする女の子を死なないようにつけられたんだよ」



死なないように?



「え⋯?」と、あんまり分かっていない私は、鉄格子を見つめることしかできなく。



「俺らから逃げたい一心で、死んだ方がマシって思っちゃうんだよ」


死んだ方がマシ⋯。

その言葉は、すごくよく分かるものだった。

もし、煌にあのままずっと抱かれ続けられれば⋯、何日も何日も同じことをされれば⋯。


おかしくなる、死にたいって思うかもしれない。



「あなたも⋯、そういう人なんですか⋯」


「え?」


「優しいから⋯、他の人とは⋯違うから⋯」



私は「ああ」と笑っている雅を見つめた。



「俺は普段、ノーマルだから」


「ノーマル⋯?」


「きっかけがないと、俺はずっとこんな感じだよ」



きっかけ?


まだよく分かっていない私は、顔を傾けることしか出来なくて。

やばいやつの集まり⋯。

狂った男達、イカれた奴ら。

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