第3話

苦しい―――

本気で死ぬと思った。



「なあ、誰の差し金?」


冷たく見下ろしてくる漆黒の瞳。それと同じような髪色をし、その隙間からは左耳だけ2連になっている輪っかのピアス。


力強く、その男の手が私の首を掴む。手加減を知らない殺す気満々なその男の手に、私は涙を浮かべた。



苦しい⋯、息が上手くできない。酸素不足で頭がフラフラしてくる。



「聞いてんの?」


声が出ないのだから、そう言われても返事が出来ないと、思考が不安定のままの私は、涙を流すだけしか出来なくて。




「――仁(じん)、首絞めてちゃ喋れないでしょ」


助けてくれる人が現れたと思ったのに、面白そうに⋯溜息をつきながら話す茶髪の男が、目の前にいる男に呼びかける。


けども、効果はあったみたいで、首から手を離され、私はヒュっと大きく息を吸った。酸素不足のためかズルズルとその場へしゃがみこみ、私は肩でハァハァと息をする。

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