中途半端

第78話

逃げ出してしまった。


私、あの時なんて言えば良かったのかな。


田中くんはまっすぐ私を見て、正直に伝えてくれたのに。


私は逃げてばかり。


田中くんからも昂からも逃げてばかり。


向き合おうとしてなかった…。



けれどこれではっきりしてしまった。


昂に対する気持ちや恋や愛じゃない。怯える気持ちだということ。


対する田中くんの気持ちやあの頃の気持ちがぶり返し好きな気持ちがあるということ。



だけど言えない。言えるわけがない。


田中くんが好きだからと言って、あの頃みたいに上手くいくわけじゃない。


かといってあの頃も順風満帆だったわけではないけど。

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