第73話

「ちょ……田中くん!?」



田中くんは力強く私の手首を掴んだまま。


力が強くて振り切れなかった。


振り切れなかったのは、それ以外にも理由がある。


僅かながら……田中くんに気持ちがあるから。


僅かに……期待してるから。



「俺は、一ノ瀬に会えて死ぬほど嬉しかったよ。一ノ瀬が……すきだったから」



え…………



「一ノ瀬は……?俺は一ノ瀬の気持ちが知りたい」



田中くんの告白にびっくりしたし動揺した。


私も好きだって伝えたかった。


だけど………

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