第48話

夕飯と、リカがいつでもつまめるように作り置きを作ったら裕二さんとゲームをした。





リカは私が夕飯を作っている最中に仕事に行ったから、裕二さんと二人きりだ。





だからといって、何かやましい事が起きるわけではない。





裕二さんはゲームを楽しむと10時ごろには家に帰った。





お風呂を済ませて、ベッドに入ったが、この日は大雨が降っていてなんだか夢見が悪かった。






なかなか眠くならなくて、数時間経ちうとうとし始めた頃、聞いたことのある声がした。





「すーずちゃん」その声に目を見開くと、父親がいた。





ハサミを持ったあの男は私を追いかけてくる。





「ママ、助けて。」走った先にいたママに声をかけたけどママは泣きながら「お願いだから、これ以上私の幸せを奪わないで。」そう言った。





私に追いついた男がハサミを近づける。





「やめて…」私の声なんて全く聞こえてないように、男はニヤニヤしていて、ママは虚な目をしていた。





「やめて!」そう叫んだ瞬間「リンっ!」と呼ばれ目を覚ました。





さっきとは違う部屋で、目の前にはあの男たちママではなく、リカがいた。




「リン、大丈夫?うなされていたけど。」リカは心配そうに私を見下ろしている。





そんなリカを見て、ポロポロと涙が出た。






「大丈夫。私が一緒にいるよ。怖いものなんて何もない。誰が来ても追い払ってあげる。」リカはそう言いながら私の頭を撫でた。





その感覚が優しくて、心地よくて私はまた眠ってしまった。

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