第24話



「ただいま戻りました!ゆきも一緒です!」




 裏口から入りそう声をかけると、上がり框に腰を下ろし兄さまは下駄を脱ぐ。



 白く汚れた足袋もその場で脱いで袖口に押し込んだ。


 まるで冷静さを失って、逸る心のまま走りまわった事実を隠すように。




 奥から小走りで、母さまが出迎えて下さった。




「……ゆき!心配したのですよ!?」




 母さまは眉をつり上げて、少し涙声でおっしゃる。

 ひどく心配していた様子が見てとれた。




「母さま……。申し訳ございません」




 うなだれて詫びる私を、母さまは叱るでもなく優しく抱き寄せる。




「いいえ、私が間違ってたのです!ほとんど外に出たことのないお前を、ひとりで行かせたこの私が……!」



「母さま……」




 自分が悪いと詫びてくれる。私が悪かったのに。


 優しくおっしゃって下さる母さまが温かくて。


 安心してか、私の目からみるみる涙が溢れた。




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