第10話

「そうだけど、何?」


彼の声はより一層低くなり、目も鋭くなる。




「私、高橋美優です。今日からその....お世話に」


「世話?」


「あれ、ここって『KINOSAKI』ですよね?城に崎ってかいて....」


「そうだけど」


「き、聞いてませんか?小夜子さんから」



──小夜子さん


その名前を出した時、眉間のシワが深くなった。




「....ああ、あれか」



あれ?

あれか、なに?



彼は軽くため息をつき、



「ちょっと待って」




と、私の横を通り過ぎて、玄関の扉の前の数段ある階段を登った。

ポケットから鍵を取り出し、ガチャりとあける。

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