第90話

そしてそんなある日、倉庫内で。


久しぶりに。



―――⋯ちっ、という、冷や汗をかく舌打ちが聞こえ。



慌てて不機嫌MAX間際になっている晃貴さんが、これ以上不機嫌にならないよう、俺らは空気になることを決めた時。




「晃貴ってなんで機嫌悪くなると舌打ちするの? ダメだよそういうの」



晃貴さんに、注意する、女が現れる。


ああ、ダメだ、あの女マジ死んだ。


舌打ちをしている不機嫌MAXの晃貴にンなこと言うとか、あの女はもう終わった⋯と、思うのに。



「⋯⋯分かった、お前の前ではしない」



女の頭を撫でるその人に、きっと驚いてるのは俺だけじゃない。





晃貴さんの性格が丸くなったわけじゃない。

俺らには本当に容赦ない。

けど、あの子だけは特別。


市川真希だけは。




きっと、みんな思うだろう。




ここのトップは晃貴さんじゃない。



裏のトップは、あの子だと。



1番最強なのは、晃貴さんでも逆らえない、市川真希なのだと。











おわり

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