第89話
倉庫内に機嫌が悪い晃貴さんの舌打ちが響渡れば、みなが冷や汗をかくほど、ひやりとさせられる。
晃貴さんがどんな人間か、俺らがよく知っている。
最近の話なら泉だ。
あの時の晃貴さんはやばかった。
不機嫌MAXだった。
晃貴さんの女を襲った男、そんな泉はもう消えていない。いない、というか、もう俺らの前には出てくることが出来ないほどの再起不能になった。
もう、あそこは使いもんにならないらしいし、肛門の方も潰れたとかで人工肛門ってやつだとか。
歯は全部抜かれ、二度と触らないように爪も剥がされ。
「真希を二度と見るな」と言って目を潰そうとした時に、徹さんに「もうやめろ」と止められていた。
徹さんがいなけりゃマジで死んでたな⋯。ああほんとにあん時の晃貴さんは怖かった⋯。
まあ、晃貴さんの武勇伝はそれだけじゃないけど。
とりあえず、晃貴さんに逆らうやつは容赦ないってことで。
それなのに、あの女は特別、なのか。
「晃貴ってなんでそんなに性格悪いの?」
その言葉に、倉庫内にいる人間がヒヤリとしているのに気づいているのか。
お前晃貴さんに何言ってんの?
殺されるぞ?
フルボッコだぞ?
お前生きて帰れねぇぞ?
ってほとんどの奴らが思ってる。
けれども晃貴さんは「真希が好きだから」と、俺らには見せたことの無い、笑顔で、それに返事し。
徹さんが「二重人格」と言って。
俺らはそれに心の中で頷くしかできない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます