第62話
ああ、しまった、やっちゃった⋯。
またからかわれた⋯と思った私の目の前には、にっこりと爽やかに笑っているお風呂上がりの晃貴の姿。
「き、気づいてたの?」
「何が?」
「起きてたの⋯」
「どっちだと思う?」
どっちって⋯⋯
あんな、呟き、起きてるって分かってないとしないよね?
「いつから気づいてたの⋯」
「さあ?」
「もう⋯⋯バカ⋯」
晃貴は笑いながら、「バカなのは真希だろ?」と、甘く呟く。
からかおうとした私が、反対に晃貴にからかわれてしまう。それってどうなの?
うー⋯と、やっぱり、リベンジできないと、
少し苛立って。
「別に寝たふりしてもいいけど」
晃貴は笑いながらベットへ私を運ぶ。
先に横になった私に上乗りになっている晃貴は、私の上着の方へ手をかけた。
「それって、俺の好き放題って事?」
好き放題?
え?
キョトン、とする私に、晃貴はどんどん服を脱がしていく。
「いいよ真希ちゃん寝てて」
「ちょっ⋯」
「あー、寝てるから手縛ってもいいのか。目隠しでもしとく?」
「ふ、ふざけないでっ⋯」
「なにそれ寝言?」
「あっ⋯、ほ、⋯ほんとに縛るの?」
「うるせぇ寝言だなあ」
「ま、待って、ちょっ⋯」
「ばーか」
(ほんとは寝てるか確かめるためにイタズラしちゃうよって言ったけど。
まあ、真希が可愛いから悪いってことで。嘘はついてねぇし)
「今度はもっと上手くやれよ」
(そしたらまた、仕返しするから)
おわり
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