プロローグ

第1話

『リリちゃん・・・今から来れる?』





電話越しに聞こえる愛しい人の声に胸がときめく音がした。




もう夜の22時に電話をしてくる人は私の知り合いには、彼しかいない。





「今から?」




流石に夜遅いこともありもうお風呂にも入ってしまった。徒歩で20分かかる彼の家に今から行くのは正直に言うと少し面倒でもある。





『お願い・・・どうしても会いたくて・・・・寂しい。』




捨てられた子犬のような声で、ねだる彼を邪険に扱うことはできなくて、私は





「わかった。今から行くね。」




そう答えるのだ。




こんな夜遅くに家を出ると怒られてしまう。ばれないようにこっそりと家に出た。




外は、冬ということもあり少し冷える。




上着を持ってこなかったことに少しだけ後悔しながら彼の家まで走った。




電話を切ってから、15分くらいで着くことができた。





インターホンは鳴らさずに彼の住むマンションに入る。




玄関で体操すわりをしながら私を待っていた。

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