第88話

「どうして私なの·····、そこまで思ってくれるの?」





私は涙を流しながら言った。


ゆっくりと、和臣の手が伸びてくる。



和臣の指先が、流れる涙を拾い。





「言っただろ、一目惚れなんだ」


「··········っ·····」


「あん時、傘·····、助けてくれた密葉が、俺にとってはすげぇ嬉しかった。自分でも、こんなに好きになるとか思わなかった」


「·····そんなの·····」


「好きだ、ずっと·····、密葉の事が好きだ」



涙を拭く指先が、徐々に頬を包んでいく。

雨のせいか、和臣の指先は少し冷たかった。でも、嫌だとか、気持ち悪さも感じなくて。逆に心地いいと思ったほどで。



私も会いたかった。

すごく会いたかった·····。

こんなにも心が喜びで溢れてる。




「これだけ会わないって言ってるのに?」



私はゆっくり顔を上げて、和臣を見上げた。



「こうみえて、結構一途だったりするからな」


「ストーカーじゃなくて?」




私はふふふと笑った。


と、その時、和臣の頬を包む手が止まった。

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