第84話

鞄の中を見て、ため息をついた。

いつも入れていたはずの折り畳み傘がなかった。そういえばこの前、折り畳み傘を使って侑李の病院から帰った後、庭に干していたのをぼんやりと思い出した。




それほど雨は強くはなく、家に帰ってシャワーを浴びれば·····。そう思った私は走って校門へと向かう。


私のクラスはテストが終わるのが遅かったのか、それほど人はいなく。


こうやって走ってる人はいなくて。



せめて鞄が濡れないようにと抱きしめながら走り·····。








「傘は?」






心臓が、止まるかと思った。

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