第80話

「そう、なら仕方がないか」


自分の教室に入り、席に着く。目の前に座っている桃は、「いつかさ?」と口を開き。




「密葉のことを、全部分かって、好きになってくれる人が現れるといいね」


「··········全部って?」


「一生、一緒にいたいって思える相手よ」


「··········」


「侑李君のことも含めてね。彼氏とかじゃなくて、いつでも寄り添えるようなさ?密葉を見守ってくれる人」


「·····そんな人いないよ」


「分かんないよ、この世界には何億人もの人がいるんだから」



桃は笑って、大きく手を広げた。



一生、一緒にいたい相手。


私を見守ってくれて、寄り添ってくれる人。




「桃もそんな人が現れたらいいね」


「ほんと、いい男転がってないかしら。拾うのに」



桃の言葉に、くすくすと笑う。



太陽が強く照らす空は、まるで、昨日のことを夢だったのかな·····と思うほどだった。

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