第62話

今日の晩御飯は何を作ろうかと考えながら、病院を出る。



けど、私が足を止めたのは、昨日と同じところに松葉杖の男がいたから。





「待ってるっていっただろ」


驚いて、呆然としている私に藤原という男は言う。





待ってるって·····、また松葉杖で?立ったまま?




「·····足は大丈夫なんですか?」


「別に、もうほとんど治ってるし」



とは言っても、片足で長時間立ちっぱしというのは、逆に丈夫な足を痛めてしまうのでは·····。




「じゃあ、また」


「え?」


「顔見たかっただけだから」



そう言われて、また驚く。


待つだけ待って、あっさりと帰っていく男に。




でも、これはこれで私が引き止めるのはおかしい気がして。

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