第60話

ハアハアと、今日はよく走るな·····って、家の玄関でどうでもいい事を考えていて。



「密葉あ、これうめぇぞ。チョコのラスク」


リビングから、お母さん達のお土産を食べているらしい兄の声が聞こえた。




突然の告白。

昨日会ったばかりの人からの、告白は、すごく私を戸惑わせた。


一目惚れなんだ·····。




「密葉?なんだ、まだ体調わりぃのか?」


玄関で立ったままの私に、お兄ちゃんはリビングから顔を覗かせて言う。




「なんでもない·····汗かいたからお風呂入るね」




忘れよう。

今日のことは。


私は絶対に、この日常を変えないのだから。


変えてはいけないのだから。



私は絶対に、侑李から離れちゃいけない·····。

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