第56話
「それはちょっと·····」
「5分だけでも、1分だけでもいい。会えねぇかな」
そう言われて、本気で戸惑う。
会いたいってどうして?
5分だけでも?
5分で何をするっていうんだろう?
「どうして·····?」
「別に毎日じゃなくて·····、あんたの都合のいい時間ならいつでもいい」
都合のいい時間?
そんな時間、侑李が大切な私には無くて。
「ごめんなさい·····、私もう帰らなくちゃ」
「密葉」
「お茶、ありがとうございました」
もう1度頭を下げ、早くこの場を去ろうと足を進める。
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