第32話

虚ろ虚ろに、瞼を開く。

視界に入ったのは金の髪·····。



「お前·····大丈夫か?」



お兄ちゃん·····?

なんでここに·····

帰ってきたの?


あれ、電話は·····?




「熱いな」



私のおでこにふれるお兄ちゃんの手が、冷たくて気持ちよくて。私はまた瞼を閉じた。




「病院行くか?」


「··········大丈夫··········」


「じゃねぇだろ、6月でもインフルとかあんのか?」


「··········ないと、思う·····」


「薬は?飲んだのか?」


「お兄ちゃん·····、侑李は·····?」



お兄ちゃんは軽くため息を出した。



「侑李より、自分の心配をしろ」

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