第20話
「そうだな」
お兄ちゃんは体を起こし、ソファからダイニングテーブルのイスに座った。
「トマト美味そうだな」
「お兄ちゃん明太子でしょ?」
「密葉、明太子食べろよ、俺こっち貰うわ」
お兄ちゃんが明太子って言ったのに?
本当に‘気まぐれ’っていう言葉がぴったりなお兄ちゃん。
もうそれに対して慣れてしまっている私は、文句を言っても無駄だと分かっている。
「あ、夜出かけるから。明日の朝と昼飯いらねぇから」
「お兄ちゃん、ちゃんと学校行ってるの?」
「行ってるよ」
本当に行ってるのか·····。
留年になって、私と同じ学年にならないでよ?と、心の中でため息をついた。
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