第13話
それに気づいても、もう依存している私はここから離れることができない…。
私は何も考えず働くことにした。ユタカの言っていたクリスマスにかけて。店の女の子が言っていたように500万とかは無理…だけど。
イベントまでの期間の日数を簡単に計算すれば、100万を超える金額を稼げる…。
だからそれを目標にして頑張った…。
たまに、ホストクラブの路地裏の方で煙草を吸っているコウセイを見かけた。でも、その人に喋りかけることは無かった。
何故か、夜道を歩いているとコウセイの顔が頭にチラついた。
それを忘れるために、援交を求める年配の人が話しかけてきたら私はそれについていくようになった。
──…ホテルで、息の荒い男性に抱かれている最中、なんだか、泣きそうになった。
本当は、私だってこんなことをしたくない。
それでも私は…この居場所を手放せない…。
マユじゃなくてマコとして、存在していいこの居場所を。
──…その日は雨が降っていた。
ユタカが私以外の〝お姫様〟の髪を、タオルで拭いているのを見た。
「使え」と、私にタオルを渡してきたのは内勤であるコウセイで…。
昨日、名前も知らない男性に抱かれていた私は、コウセイの目を見れなかった。なんだかやましい気持ちになった。
「来月のクリスマスイベ、これる?」
「うん、来れるよ」
それなのに、席についたユタカの目は見れる。
「いくらぐらい使える?」
「200万ぐらいかな…、たりない?」
今働いているの店以外でも、体を売ればお金は稼げるから…。予想していた100万円よりも…。
「いや、多いぐらいだよ。嬉しいよ。俺のためにありがとう」
ユタカはホストだと、分かっているのに……。
きっといい金づるなんだろうな…。
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