第41話

小山くんと狭川くんにお礼の電話をした乙和くんは、電話の最中ずっと泣きながら笑っていた。

悲し泣きから、嬉し泣きに変わった。

そんな乙和くんの表情を見れば、私も幸せになった。




窓を閉めた室内は、温かさが戻ってきていた。

室内にひかれた2つの布団の中に入り、どちらかともなく、手は繋がれていた。

さっきまで冷えていた乙和くんの手は、いつの間にか温かくなっていた。


いつもいつも、体温が高い乙和くん。




「俺さ、」



向かい合うように、横になっている私は、穏やかな表情をしている乙和くんを見た。

清々しい、雰囲気は、今までとは違う。



「寝るのが怖かった…、明日になるのが怖くて。それでも、眠くなって、欠伸とか無意識に出る自分が憎かった…」



私は黙って、静かに聞いていた。



「でも、今はそんな気持ちなくて…」



眠るのが、怖いという気持ちが…。

乙和くんの顔は、すごく穏やかな雰囲気で包まれていた。



「ありがとう…はる……」



微笑んで、感謝の言葉を伝えて来る…。



「私だけじゃないよ、小山くんも、狭川くんも。それに乙和くんが受け入れてくれたから…」


「うん、それでもありがとう…」



幸せそうに微笑む乙和くん…。



「たくさん、いろんなところ行こうね」



私の顔も、きっと乙和くんからは、幸せに見えてるんだろうな…。

だって乙和くんも、クスクスと笑っているから。




「はる?」


「ん?」


「…さっきはるが言ってた…俺のしたいこと、1つ聞いてくれる?」


「うん、1つじゃなくても、なんでもするよ」




手を繋いだまま、少しだけ体を起こせば、乙和くんが私の体を引き寄せた。


別々の布団で横になっていたはずなのに、私は乙和くんの布団の中にいた。



乙和くんの体は、温かい…。

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