第34話
「お前こそ族やってる自覚ねぇよ」
晴陽がピシャリと、言い放ち、テレビの方に目を向けた。自分の言い分を拒絶した晴陽に腹が立ったのか机を蹴り飛ばすキチガイ。
「…1週間後、俺にくれるって約束だよ」
「1週間後、だろ。それまでは俺のだ」
「…はる」
「この一週間、どうするか俺が判断する。今日の夜はナナ。明日は御幸だ」
「はァ?!」
「お前は昼間、楽しんだだろ?順番な」
くす、と、笑った晴陽は煙草に火を灯り。
俺の方を睨んでくる流雨に、慌てたふりをする。
おい、はるぴ、勘弁。
俺にふるなよ、と。
「き、きりしまは?」
霧島の方にふれば、流雨の目が霧島に向けられ。霧島は「晴陽が言うなら」と流雨を睨んでいた目を少しだけ緩めた。
「じゃあ御幸の次は霧島、…また俺、な。平等だろ」
「俺の月だからな」
「心配しなくても4匹目は1週間経てばやるよ」
ちっ、と、舌打ちをした流雨は、「邪魔なんだよ!!」と近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばすと、部屋から出ていこうとし。
「どこ行く?」と聞けば「月が俺の買ったおにぎり食べたがってるんだよ!!」と怒鳴り声を上げながら出ていった。
月が流雨の買ったおにぎりを食べたがってる?
いや、そんなわけないだろうと思ったけど。
部屋の中にナナがいた事を思い出し、ああ、ナナの策略かと簡単に思い浮かび。
「単純かよ」とぽつりと呟けば、ふ、と、煙草を吸っている晴陽が唇の口角を上げた。
どこからどう見ても、面白がっている晴陽。
わざと怒らせたらしい。
「らしくないな晴陽」
俺がそう言えば晴陽は煙をふく。
霧島は無表情。
「そうか?」
「いつも流雨の好きにさせるから」
「最近、調子乗りすぎだからな」
「ふうん?」
「少しは〝待て〟を覚えさせた方がいい」
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