第92話

夜の世界は似合わない…。



「何言ってるんですか、…もう私の世界にケイシさんはいるんですよ……」



私はゆっくりケイシを見上げた。



「…明日も、一緒に朝を迎えませんか……」




ケイシの顔は、多分私に向いていない。

黒い髪しか見えない。

ケイシは何も喋らなかった。私の返事はせず、「風呂入ってくる」と言ったケイシは私から離れて行った。



そのまま何も言わず、ケイシはお風呂を済ませたあと、また外へ出ていった。


そんな彼は帰ってこず、私と朝を迎えることは無かった。

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