第65話
タカから渡された写真は、数枚ではなかった。
その人物写真は、ホストみたいな若いヤツらから、50代の男までいる。
「これが当時、怪しいと思ってた奴ら。もう死んでるやつもいるけど。あー…、あと、これミドウ組の分かってるだけの車のナンバー。写真は勘弁してくれよ、あいつらすぐ車変えるし、盗撮が見つかったらヤバいから」
写真を順番に見た。
ホストみたいな、派手なスーツを着て髪を整えている奴もいる。1枚1枚めくっている最中、「でもそれも4.5年前の写真だからな」と、タカが言ってくるけど。
「整形してないかぎりは大丈夫と思います」
「あー、目とか弄ってたらなー…」
「いや、見てるの骨格なんで…」
「は?」
1枚1枚見る。
「この派手な奴らも七渡組ですか?」
「いや?ホストだった奴ら。ケイシさんそこで働いてたらな…。ヤクザって事もマユさんと関わってたの知ってるやつ何人かいたから写真があるだけ」
「…この若いやつらの中にはいないですね」
「マンションの近くにいてたやつ?」
「…こいつらは?」
「元七渡の人間、残念ながらお前の父親も入ってるよ。あの人も色々と知ってる人だから。疑わしきは〜ってやつな」
「……」
「元ってのは、死んだりとか抜けたりって意味な」
「…父親は違いますよ」
「なあ、さっき骨格って言ってただろ? そういうもんって分かるもんなの?」
「覚えようとすれば」
「ふうん?」
「聞いたのは覚えないけど、見たのは覚えやすいですね」
「あれか?瞬間記憶能力ってやつ?だって車のナンバーも覚えてるんだろ?」
「そんなんじゃないです、忘れることもありますよ、絶対覚えないといけない時はメモるし。ただ頭の隅にあるだけで…」
「短期記憶がいいとか?」
「そういう言葉は勉強してないんで良く分かりません」
「え?なに、お前って頭いいの?バカ?どっちよ」
「さあ…」
写真を見終わり、次は車のナンバーを見るけど、記憶にあるナンバーと被らない。
「…いないですね、この中には」
「やっぱな、そう簡単に出さねぇよ。多分遠くから望遠鏡で覗いてんだろーな」
「…」
「なあ、お前さ?もうケイシさんのこと、いい人って思ってる?」
「さあ…」
「さあってなんだよ、いい事教えてやろうと思ったのに」
タカは煙草を吸うのか、どうでも良さそうに指に煙草を挟んだ。
「いつも朝、お前が行く時いないだろ?ケイシさん」
いつも?
確かに、いないことが多い。
けど、
「たまにいますよ…」
「あー、そういえば、この前いたなー。4日ぐらい前、生理用品届けてくれって連絡入った時」
生理用品…?
4日ぐらい前…。
4日前?
それって確か、シイナが朝早くにシャワーを浴びていた時。
それでか、と、妙に納得し。
「いないのがどうかしたんですか」
「あれ、お前と2人っきりにさせるためじゃねぇよ?」
「……」
「毎日、朝にマユさんの墓参り行くケイシさん、めちゃくちゃかっけぇと思わね?」
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