第78話

その日からあたしは、大駕の所へ行かなくなった。

もちろんあんなことがあった隼翔がいるたまり場にも行けず。

湊には「行かねぇの?」って言われだけど、「そんな気分じゃない」とだけ言い、学校帰りは暇つぶしに1人で出かけることが多くなった。



女友達もいないあたしには、こうして遊びに行く相手もいない。

しばらくの間、夜ご飯の時間までに家へと帰る生活が続いた。



夜ご飯の後には、ちょっと外へ走りにって。筋トレして、ストレッチして。

一時間ほどの半身浴が終わったあと、浮腫をとるために念入りにマッサージ。



その後は「もう寝るね」と言い、あたしは眠りについた。最近、いつもより沢山寝てるからか、お肌の調子もいい。



居場所がなくなった。

というより、あたしが全部手放した。


だからあたしが、寂しいって思うこと自体、おかしいのに。そんな事を思う資格なんて、無いはずなのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る