第44話

実さんなら、もっとかっこよくて、選べる男がたくさんいるのに。



「いいなあ·····湊は」


「なにが?」


「好きな人に振り向いてもらえて」



辰巳さんは、あたしに見向きもしない。もう彼女もいるし、っていうか、彼女が出来る前にもアタックはしていた。辰巳さんのことが好き好きオーラはたくさん出していたのに。


見事に辰巳さんにはスルーされる。別に嫌われてるわけじゃない。どちらかというと親しい方なのに。


辰巳さんは、あたしの事をお兄ちゃんの妹としてしか見ていない。



「羨ましいか」


「別に」


「今いいなって、言っただろ!」


「あたしも彼氏ほしいなあ」


「話そらすなよオイ」



辰巳さんと彼女さんの仲を引き裂こうなんて、もう思ってない。でもやっぱり辰巳さんに会えると思ったら嬉しい。


彼女になりたい、辰巳さんに愛されたいって思っちゃう。

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