第14話

「あの子だけなのよね、進路票出てないの」



‘ほぼ’集まった進路希望調査票。たった1人を除いて。この一週間、朝はいないし、放課後もいないし、授業にはたまに出ているみたいだけど全然捕まんなくて。



「ああ⋯、聞いときますよ」


「ほんと?ありがとう」


「いえ⋯」



橋本君は前を向き直し、教室の方へと歩いていく。

ほんと、いい生徒はすごくいい生徒なんだけどなあ。


ちゃんと毎回授業出る生徒もいれば、今もこうして私の頼みを聞いてくれる生徒もいる。


ただ、やっぱりため息が出ちゃう生徒もいるわけで。

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