第82話

一緒に歩きたくないのか、私よりも3歩ほど前を歩く良は不機嫌な表情でこちらを見た。軽蔑するような、冷たい目。



「聖と話したんじゃねぇのかよ、穂高に狙われてるって」


「······」


狙われてるとは話してない。

まあ、似たような話はしたけれど。



「お前、あいつと違って馬鹿なのか」




呆れたような声。

あいつとは、多分、

お姉ちゃんの事を言っているのだろう。



そのまま良は前を向き、1度と私がいる後ろへと振り向くことなく駅の方へと足を進めた。


電車の中でも、電車から下りて学校を向かう最中でも、良は口を開くことはなかった。

ただずっとイライラしている様子で、私から今すぐにでも離れたい様子だった。

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