第64話

────コンコンと、自室の扉のノックの音が聞こえた。


時刻は夜の7時半、もしかしたら、お母さんが夕飯の支度が出来たから呼びに来たのかもしれない。



「はい」と返事をしようとした時、「真希ちゃん、俺だけど」という声が扉の向こう側から聞こえた。



その声はどう聞いても、聖くんで。


まさか、わざわざ家に来たの?

私が逃げたから?



「真希、開けるね」



だけど、すぐにお姉ちゃんの声が聞こえた。


ああ、なんだ。

お姉ちゃんを家まで送ってくれたついでに、私の部屋に来たの?



そんな事を思いながら、「うん」と返事をする私がいた。

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