第23話
徹は「はぁ···」と、
分かりやすいぐらいのため息をついた。
「離してやれ」
徹の声で、あんなに叫んでも離れてくれなかった手は、すんなりと離れた。
一番怖そうで、何かをしてきそうな人は、
私を助けてくれるみたいで。
「お前、晃貴にすぐ来いって連絡しろ」
「は、はい」
その時、スっと、
鋭い氷のような目が私に向けられた。
「悪かったな」
顔は有り得ないぐらい怖いのに···。
「怪我ねぇか?」
この倉庫内で、唯一のまともな人。
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