第79話
無意識に声のした方に顔を向けていた。そこにいたのは、走ってやって来る良くんがいて。
真希(まき)―――、と呼ばれた女の子に駆けつけた良くんは、少し驚いている様子で。
こんなにも近くで見かけるのは、文化祭の日以来だった。
「良くん、ごめんねいきなり」
「どうしたんだよ」
「これ、聖くんに渡してくれないかな?昨日、忘れて帰って。お姉ちゃんが来れないから代わりに来たの」
そう言って、真希という子は、鞄の中から小さな袋を取り出し。
「分かった、一人で来たのか?」
袋を受け取り返事をする良くんに、私は驚いていた。
女の子と普通に会話をしているということに。
「ううん、向こうで待ってる。さすがに中には入れないから」
眉を下げ、笑う女の子に、良くんは「そうだな」と言って。
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