第64話

「俺、幹部の薫さんに気に入られてるんだ」


「うん⋯」



溜まり場で何度か見たことがある。

すごく体が大きい人だった。



「それもあってか時期幹部候補って言われてる」


「幹部候補?」


「それを知っているから、俺とヨリ戻したいって思うんだよ」


「⋯⋯」



暴走族の幹部の女になりたいってこと?


それなのに、他の人と浮気したの?


優しい裕太を傷つけて?



「ごめんな、二度と連絡させないようにするから」


「うん⋯」


「不安にさせてごめん⋯」




不安⋯。


めんどくさいなって思ったのは、‘不安’のひとつなのだろうか。

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