第59話
私と薫では、30センチほど差があるかもしれない。いや、かもじゃなくて確実に···。
「あの、これお金」
「金?」
「お茶の」
「別にいい」
「や、でも」
「この前奢ってもらったからな」
「奢ったって···、アレは送ってくれたお礼で」
「じゃあまた、買ってくれ」
薫は今日一日でやっと見慣れてきた静かな笑い方をすると、「教室まで送るわ」と言ってきた。
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