第44話

学校内で薫と話すのは、初めてのことだった。


今学校に来たらしい薫は、私の前の座席に横向きに座りこちらの方に振り返っていて。まだ眠いのか分からないけれど、いつもより雰囲気が違うような気がして。




「なんかあった?」


と、薫は意味の分からない事を言ってくる。



なんかあった?

それは薫の方では?

わざわざ教室まで来て···。



首をかしげる私に、薫も不思議そうな顔をする。



「あったんじゃねぇの?」


「え?」


「うん?」


「私が?」


「そうだろ」


「···薫に?」


「じゃねぇの?」

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