第21話
「ちょ、ちょっと待ってね」
私は首を傾げたままの聖を置いて、自動販売機にお金を投入した。咄嗟に買ったのは、私がいつも買っている種類のお茶。
「これ、薫君に···昨日のお礼って。渡してくれないかな」
500ミリリットルの、普通のお茶のペットボトル。
「薫に?分かった、渡しとく」
「ありがとう」
ペットボトルを受け取った聖は、また穏やかに笑い、自分のクラスであろう方へと足を進めた。
よく笑うだなあと、心の中で思う。
私だったらあんなふうに穏やかに笑えないと。
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