第77話

治る、治らない。



「性癖は、⋯クセみたいなもの、って、聞いたことがある⋯」


私が恐る恐る言えば、海吏は深く「やんな⋯」とため息を出した。




「治る、治らん、以前の問題ってわけやな⋯」


海吏のその真剣な表情は、私の足枷を必死に外してくれようとしていた表情とよく似ていた。




「にぃ、⋯あのクズは、ひなを傷つけてへんかったみたいやけど、それはなんでなん?」



兄ちゃん、と言いかけた海吏は、私に目を向けてくる。


なんで?どうして?

クセなのに、どうして私を傷つけないのか。




「好きやったら、ルイみたいに、自分のもんにするために足とかとるんちゃうん。逃げんように」


「⋯⋯」


「俺やったら、そうする」



海吏だったら?


すごく怖いことを簡単に言った海吏。



でもそれは⋯。

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