第74話

「―――⋯病院、なんて?」



ルイとヒカルが寝静まってから、こうして夫婦で話をするのが当たり前になっていた。




海吏の声は、すごく低かった。






「ちょっと早すぎたみたいで、また1.2週間たってから来てって言われた」



産婦人科の先生が、早すぎれば心拍がどうとかって言ってきて。



「そんなのあるんだな。ごめんな、1人で行かせて」



そんな事ない。

あの状況では仕方無かった。海吏が2人を外に連れ出してくれて良かった。


私は顔を横にふった。




「ううん、ルイ、公園ではどうだった?」


「初めはグズってたけど、ヒカルが遊ぼーって宥めてからは普通。どっちが兄貴か分かれへんな」


「ほんとだね、ヒカルはマイペースだし」



ふふふと、私は笑う。

でも、その笑いはすぐに途切れる。




「⋯⋯」


「海吏⋯」


「どうしたらええんかな⋯」


「⋯⋯」


「ひなが、病院から帰ってきた瞬間、アレやもんな」




‘アレ’。

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